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DICK BREWER SURFBOARDS JAPAN インタビュー Vol.1
奥田修嗣代表
~聖地に選ばれたサーフボード~

近代サーフィン史上、最も有名で重要なシェイパーと言っても過言では無い、マスターオブマスター ディック・ブルーワー。現代を生きるシェイパーの殆どが、何かしらの形で彼からの影響を受けていると言えるほど、サーフィン業界に驚くほどの大きな影響を与えている。50年以上のシェイプ歴を有し、あまたのビッグウェイバー、パイプライナー、トッププロからの依頼を受け続けるレジェンドシェイパーだ。

1961年に「BREWER」ブランドとしてハワイでスタートし、瞬く間にハワイ中で支持を集め、1962年のマカハインターナショナルでは出場者の半数が彼のサーフボードでエントリーしていたという。

そして彼がブランドを創設して、およそ40年が経過し時代は2000年代に移る。まだ記憶に新しいワイメアでのエディ・アイカウ・メモリアル、狂気のチャージとピンボールでの歴史に残るパフォーマンスでその栄冠と全世界からのリスペクトをつかみとったブルース・アイアン。そして、2011年11月11日、ポルトガルであらたなギネス記録である90フィートの波をメイクしたハワイのビッグ・ウェイブ・サーファーであるギャレット・マクナマラ。彼らが命を預けたサーフボードは「BREWER」であった。

伝統と革新を併せ持つディック・ブルーワーのDNAは、グローバルでは、パイプラインマスター ジェリー・ロペスを始め、多くのシェイパーに引き継がれ、日本では、黎明期から日本のサーフィンシーンをリードして来た長沼一仁氏、そして、下重正則氏、奥田修嗣氏へと引き継がれている。

<ディック・ブルーワーから教わった、主なシェイパー・サーファー>

ゲーリー・リンデン / アル・メリック / ドナルド・タカヤマ / ジミー・ルイス / デビット・ヌヒワ / ブルース・ジョーンズ / ナット・ヤング / リノ・アベリラ / ジェリー・ロペス / オウル・チャップマン / エディ・アイカウ / マーク・リチャーズ / マイケル・ホー / ブライアン・ケアウラナ / べティア・デビット / レイアード・ハミルトン etc

そんなDick Brewer Surfboards Japanの代表である奥田修嗣氏、日本のJPSAショート部門をリードした名サーファーでありDick Brewerのライダーである上條将美氏、レジェンド 長沼一仁氏に、Dick Brewer Surfboards Japanの方向性や、選手生活の思い出等の話を聞いた。

(インタビューはここから)

奥田修嗣氏
(photo by Dick Brewer)

経験の蓄積がもの凄い

[Web Media AO, 以下AO] Dick Brewerのサーフボードの特徴や、強みを聞かせていただけますか。

[Dick Brewer 奥田氏、以下OK] Dick Brewerは、日本のサーフィンの創成期から続いているブランドですので、サーフボードのクオリティに関して、長い歴史と豊富な製作経験で培ってきたノウハウを多数有しています。

サーフボードはシェイプから始まって、仕上げに至るまでにいくつかの工程を経て完成するんですけれども、Brewerでは、それぞれの工程を専門のプロフェッショナルが受け持って、サーフボードを作ってるんですね。各工程を担当するプロフェッショナル達は、これまで何万本ていう膨大な数のサーフボードを作って来てるんですよ。もう職歴でいうと30年、40年っていう人だったりします。昔、サーフボードが沢山世の中で売れていた時代には、年間にすごい数のボードを製作してましたので、経験の蓄積がもの凄いわけです。

[AO] すごい経験の蓄積ですね。

[OK] そうですね。もの凄い蓄積の経験を持っているプロ中のプロの集団が携わってBrewerのサーフボードを作ってるんですよ。ですので、世の中にはいろんなブランドの方たちもいっぱいいるんですけれども、出来上がってくるクオリティは、他に引けを取らないというか、負けないと思っています。

Dick Brewer Surfboardsのサーフボード
(photo by Dick Brewer)

[AO] デザインも非常に洗練されてかっこいいボードを沢山製作されていると思うんですけれども、デザインはどういう風に決められているんですか?

[OK] 基本的にはお客様のご要望を基にしてデザインを決めます。お客様は雑誌とかいろんなものを見てオーダーの際にデザインのご要望をお伝えいただく方が多いんですけれども、デザインはBrewerにお任せすると言っていただける方もございます。

そういう場合はデザインに関係する私どもの工程のプロが決めていきます。豊富な経験や引き出しの中から、形状にぴったり合った最適なデザインを提案しています。それぞれの工程の熟練度も高いレベルをキープしているのですけれども、デザインも、長い歴史の蓄積があるので、正にその形と本当に上手くマッチングしたデザインを出すことが出来るんです。

[AO] 今までの試行錯誤とか経験が有るから、いろいろ、ボードの形とか、ご注文されているお客様のデザインの好みとかに合わせて、ぴったりの素晴らしいデザインを出すことが出来るんですね。

[OK] そうですね。サーフィンのその年の流行りだったりとか、同じデザインでも、例えば、ちょっとした幅や、線の太さが違うとか、ちょっとした違いにまで拘ってデザインをしています。カラーリングで、レールに色を入れるにしても流行りがあるんですよ。微妙に細くしたりとか。

[AO] 人気の柄とか流行している柄とか、細かい、微妙なところもうまくトレンドやお客様の好みをキャッチされてデザインされているんですね。

[OK] サーフボードを作るのが仕事なので、海に行って、海に入っている人のサーフボードを見る事も仕事ですし、いろんな雑誌を見て、デザインの流行とかを参考にすることも仕事なんです。そういう風に、様々な場面で、学習し、インプットして、多種多様なデザインを常に頭の中に入れているので、デザインに関しても本当に多くの蓄積や引き出しを有しているんです。

奥田修嗣氏
(photo by sma)

Brewerにはサーフィンジャンキーが集まっている

[AO] 作り手の方もサーフィンとか行かれるんですか。

[OK] もう作り手全員サーファーです。サーファーの中でも、サーフジャンキーっていうか、サーフィンばっかりやってるっていうと語弊があるんですけれども、そういう人がBrewerには集まっています。

[AO] もう熱狂的なサーフィン好きな方が集まられているんですね。

[OK] サーフィンの創成期の頃はとにかくサーフィンが好きという風な人達ばかりがいる業界だったんですけど、時を経るにつれてビジネス的なものも大きくなってきました。そのような流れの中でも、Brewerは、やっぱりビジネスということだけではなくて、サーフィンが好きでこの仕事をやってるっていう部分がコアにありますね。ですので、Brewerでは、今でもすごく海に入る時間を大切にしています。

[AO] サーフィンが好きであり、かついろいろボードの挙動を見たりテストしたり、よりボードを改良していくためにサーフィンもされてっていう形ですかね。

[OK] そうですね、はい。

[AO] 創始者であるディック・ブルーワー氏は、サーフィンの歴史の中でも非常に代表的なシェイパーの方だと思うんですけれども、ブルーワー氏から受け継がれているシェイピングの哲学とか方法論とかあればお話しいただけますか。

[OK] Brewerのサーフボードは大量生産型で作るようなサーフボードではなくて、カスタムサーフボードが殆どなんですね。

[AO] ハンドシェイプだけですか?

[OK] いえ、ハンドシェイプだけではなくて、最新のマシンシェイプも取り入れています。プレーナーを使ってやる作業を、ある程度マシンで先に仕上げることをプリシェイプっていうんですけれども、そうすることで機械が得意な部分を活かせるっていうことのがあるんですよ。ただ、ハンドシェイプのすごく良いところっていうのもありまして。適材適所で両方とも使っています。

ビッグウェーブポイントでは Dick Brewer

[AO] ラフなところを先ずマシンでシェイプして仕上げをハンドシェイプするってことでしょうか?

[OK] そうですね、サーフボードって、ラフなところ(大枠の形)で大部分の性能が決まって来るんです。ですので、その大事な性能が決まるような工程で、クオリティを安定化させるために、マシンを使っています。クオリティを安定させるというのはマシンの得意なところですので。マシンの良いところっていうのもありますし、逆にハンドシェイプにしかできないところや、良いところっていうのもあります。

Brewerから生まれるボード自体はシェイパーがそれぞれの経験や知識、その時のシェイパーの考え方等をベースに頭の中にあるボードのデザインを形にしていくんですけれども、世界のサーフィンのビックウェーブポイントではDick Brewerのサーフボードが、世界の多くの名だたるトップサーファーや、世界的に有名なサーファーの方に使われています。

やっぱりそれは信頼されて使われ続けているっていう事なんですよね。そのように世界中で指示され続けるサーフボードを生み出してきた、ディック・ブルーワーの教えやサーフボードのシェイピングの方法が、 Dick Brewer Japanにも引き継がれて、生きているんです。

奥田修嗣氏とビッグウェーブ
(photo by sma)

[AO] 2011年にポルトガルでギネス記録の90フィートの波をメイクしたギャレット・マクナマラがBrewerのサーフボードでビックウェーブに乗られたっていうことなんですよね。

[OK] ハワイにワイメアベイっていう凄く大きい波が立つポイントがあるんですけれども、ワイメアの波なんかでもBrewerのサーフボードを使ってる人がとても多かったりします。そういうポイントで信頼されて使われてきたっていうのは、実は非常に大事なことで、このサーフボードがあれば大丈夫だと思って安心して沖のラインナップに向かっていけるってことだったりですとか、危険な状況で一瞬の判断を求められる時に迷いなく安心して自分の意思決定ができるということの証でもあります。このような安心感や信頼性は、とてもサーフボードにとって大事なことだと思いますね。

安心や信頼がDick Brewerの哲学

[AO] 特にビックウェーブへのチャレンジは命がけだと思いますし、ビックウェーブ用のガンとかはものすごく緻密に作られているという風にお聞きするんですけれども、本当に信頼の証になりますよね。

[OK] ビッグウェーブでもサーファーが安心して身体を委ねることが出来るように信頼いただけるサーフボードを提供する、という気持ちがないといけないんじゃないかなっていう風に思いますね。そういうサーフボードにおける安心や信頼という部分がDick Brewerのサーフボードの哲学と言えると思います。

[AO] 今、Dick Brewer Japanの方で日本のサーフィンの創成期からサーフィンの業界をけん引されてきた長沼さん、それから奥田さん、下重さんとシェイパーの方がいらっしゃると思うんですけれども、3人の現状での役割ですとか、シェイピングの特徴やサーフボードの得意な分野を教えて下さい。

[OK] そうですね、まず特徴というのか全員がシェイパーサーファーなんですよ。シェイパーという前にまずサーファーで、波があれば必ず海に行って、常に波を気にして生きているっていうところですかね。「波がある、じゃあ海に行こう」みたいに、常に波が気になっていて、何よりもサーフィンが好きっていう、シェイパーサーファーですね。

[AO] サーフィンジャンキーなんですね。みなさん一緒にサーフィンは行かれるんですか?

[OK] ケースバイケースですね。みんなで行こうよっていうこともありましたけど、みんな最近は各々でサーフィンに行くことが多いですね。

[AO] なかなかみんなのタイミングが合わないこともあるってことですね。

[OK] そうですね、そうだと思います。

INAMURA CLASSIC INVITATIONAL 2015 チラシ
(photo by Dick Brewer)

パドリングでウニが指の先に入る

[AO] お三方はどのあたりで海に入られることが多いんですか?

[OK] だいたい鎌倉の海ばっかりですね。

[AO] 七里ガ浜のあたりですか?

[OK] 七里ガ浜も入りますし、稲村ケ崎の方にも入りますし、みなさん自分の好きなポイントもあったりして、バラバラですね。

[AO] あの辺り、綺麗な海域なので生物が豊富ですし、ウニとかも沢山いるので、ウニを踏んで痛い目に合うこともあるかと思うんですけど、危険な目にあうことはなかったですか?

[OK] そうですね、ウニを踏むっていう事は最初の始めた頃はあると思うんですけれど、足をついたりっていうのは、サーフィンをだんだんやっていくうちにしなくなりますので、逆に潮が引いてるときにパドリングして指にウニが刺さるってことの方があるかもしれないですね。

[AO] 実際にそういう方もいらっしゃったんですか?

[OK] そうですね、潮が引いて浅いところに自分がいて、そこを通らざるを得ないときにウニが指の先に入っちゃったりとか。

[AO] そうなんですね。

[OK] そういうウニがいる所に頭から突っ込んだりっていうのは危険ですけど、実際にはそういうことは無いので、あんまりそういう危険な目はないと思います。

3人のシェイパーへのオーダーの傾向

[AO] サーフボードの製作でそれぞれ好きな方向性や得意分野はありますか?

[OK] 基本的にはそんなに無いですね。大体オーダーではお客様がこのシェイパーに削ってもらいたいっていう意思を示されて、我々はご要望に沿ってシェイピングしますので、これじゃないとっていうのはあんまり無いと思いますね。

[AO] 皆さんオールマイティな感じですかね。

[OK] まぁでも、シェイパーによってオーダーが入ってくるのはこういうボードが多いっていう傾向はあるんですよ。

[AO] 長沼さんにはロングボードのご注文が多いのでしょうか?

[OK] そうですね、やっぱりショートボードより圧倒的にロングボードの方が多いですね。

[AO] そうなんですね。奥田さんや下重さんには、どんなボードのご注文が多いんですか?

[OK] 下重さんはロングボードも、ショートボードもオールマイティにオーダーがありますけど、逆に僕の場合はショートボードが多いです。自分がショートボードをやっているので、基本ショートボードかなぁって感じですね。

下重正則氏
(photo by Dick Brewer)
下重正則氏シェイプのBBS-MUSASHI 634
(photo by Dick Brewer)

※BBS-MUSASHI 634…どんなサーファーにも乗りやすく、この一本でサーフィンの幅が広がる様なボードです。特にノーズライディングは、抜群の効果を発揮します。普通のクラシックボードより、テイクオフも早いし、ノーズコントロールも抜群。是非、皆様にもオススメしたいモデルです。(佐藤秀一プロコメント)

下重正則氏シェイプのBBS-YAMATO EPS
(photo by Dick Brewer)

※BBS-YAMATO EPS…小波時のテイクオフが早くノーズライディング時のレールロックも素早く反応、フェイスの加速が尋常じゃない。ルース感が全くなく怖いほどの安定感。最高にご機嫌なボード。(北村吉代プロコメント)

今後のDick Brewer Japanの方向性

[AO] 今まで長沼さんの方でDick Brewerの顔として、Dick Brewer Japanをリードされてきたと思うんですけれども、今後は奥田さんですとか下重さん中心により新しくなって行くという風にお聞きしているんですけれども、今後のDick Brewer Japanの方向性ですとか目指していくサーフボード製作についてお聞かせ頂けますか?

[OK] Dick Brewer Surfboardsは長年、全国各地のサーフショップの方やユーザーの方に支えられて今日までやってこられたんですけれども、性能とか見た目の美しさとかフィーリングとかそういうこと全てにおいて、より喜んで貰えるようなサーフボードを提供するっていう事のために、常にもっともっといいものを作っていくという気持ちで、常にその気持ちを持ってやっていきたいなと思っています。Brewerのプロフェッショナルは全員そういう気持ちでやっているので、必ずそういう風に向かっていけるんじゃないかと思っています。

[AO] 奥田さんのサーフィンのスタイル、ショートボードっておっしゃっていたのであまりそのノーズライディングとかっていう方向性ではないかと思うんですけれども。どんな感じでサーフィンをされているんですか?ショートボードがメインなんですよね。ロングボードやミドルは乗られるんですか?

[OK] ロングボードも少しはやるんですけれど、だけど基本ショートボードが好きなので、ダイナミックな大きな動きのあるサーフィンが好きっていうのはありますね。サーフィンのDVDとかを見て自分がこの人好きだなっていうのは、色々あるんですけれど。

奥田修嗣氏と掲載メディア、コンテスト会場の様子
(photo by Dick Brewer)

サーフボードを使う職人

[AO] 好きなサーファー選手とかいらっしゃいますか?

[OK] 上條君ですかね。

上條将美氏
(photo by Yasuma Miura)

[AO] 上條さんのどういったところがサーファーとして魅力的だったりしますか?

[OK] 上條君は、Brewerのボードに乗ってもらう前から、自分はずっと知っていて年も近いんですけど、サーフィンが上手いな~とずっと思って見ていましたね。ここのボードに乗って欲しいなとずっと思っていたので、こうやって乗ってもらえていることにもすごく感謝していますね。

[AO] 上條さんのサーフィンを参考にして練習されたりとかされているんですか?マニューバーとか。

[OK] そうですね、教えてもらったりしたことも、もっとこうした方がいいよなんて事も言ってもらったりしたこともあるんです。プロサーファーって世の中に沢山いると思うんですけれど、その中でも、サーフィンで食べて行くっていうのは凄いことだと思います。

そういうトップレベルのサーファーである上條君だからこそ、サーフボードのことを少し聞いても、細かい所まで、足の下のサーフボードのところで起きている水の流れだったりとか、すごく繊細なところまでピンポイントで教えてくれたりします。ある意味波に乗る職人というか、サーフボードを使う職人という印象があります。ですので、凄く良いサーフボードを作る事を目指す中で凄く助けてもらっていると思っています。

[AO] サーフボードの動きだとか、フィードバックで非常にいいアドバイスをもらえているということですかね。

[OK] そうですね、波の上というか海の中というか、どういう風にサーフボードが機能しているかというところがすごく大事なことなので、本当に職人技でしかわからないような所を教えてもらえるというのは、やっぱりサーフボードを良くしていくために欠かせないことなので、すごく助かりますね。

奥田修嗣氏
(photo by sma)

家族皆でサーフィンを楽しむ

[AO] 普段サーフィン以外で自宅ではどのように過ごされていますか?

[OK] そうですね、大体普段はもう波が有れば常に海に行ってサーフィンするみたいな、そういう感じですね、ずっと。波がない時になるとサーフボードを作るみたいな。そういう感じでずっと生きてきているので、本当に単純にサーフィンが好きだっていうのでそういう風に来てます。

自分の妻もずっとボディボードをやってきた人なんで、まぁ自分以上に海が好きで、朝から晩まで海にいるような感じの人なんですよ。ずっと、今でも、そういう調子で波があればずっと海のことばっかり考えてるって感じなんです。自分、娘がいるんですけど、両親ともこういう調子なので、自分の娘も自然と海に行くようになり、一緒にサーフィンも始めるようになって、今では家族でサーフィンするようになって、皆で楽しんでますね。

[AO] ご家族皆さんで海に行ってサーフィンなりボディボードなりされているんですね。

[OK] そうですね。娘はサーフィンなんですけど、海のことばかり言ってて、朝から、波がどうだとか。「明日波ある?どうなの?」みたいな感じで一日中、一緒に海で遊んだりとか、そういう感じですね。だんだん子供も乗れるようになってきたので、そういう成長を見るっていうのが本当に楽しくて、海で楽しませて貰ってると思います。最近、気候もどんどん暖かくなってきたので、そろそろ、家族や友達とサーフトリップしたいなと思っています。今、こういうコロナの状況なのですけど、コロナが収まればまた行きたいなっていうのはありますね。

[AO] そうですね。ショートボードって結構体力がいると思うんですけれど、そのショートボードに対応できる体力の維持ですとかトレーニングなどはどういう風にされているんですか?元々体力が無尽蔵にあるパワフルな方なんですか?

[OK] 体力はずっと無いってことはなかったんですけど。

[AO] 元々体力はある方ですか?

[OK] そうですね、動くのもずっと大好きでしたし。ただやっぱりやり続けるってことは大事だなって思います。やり続けないと、久しぶりにサーフィンをすると、しばらくの間パドリングが少し辛かったりしますね。まぁ、やっているうちにすぐ慣れたりはしますけど、普段、トレーニングとかは特に何もやってないんですけど。

ディック・ブルーワー氏と奥田夫妻、Dick Brewer Japan 工場内観
(photo by Dick Brewer)

お客様のサーフィンが楽しくなる調子良いボードを出して行きたい

[AO] 後、普段何か考えられていることとか有りましたらお願いします。

[OK] Brewerからお客様にとって合っているボード、調子が良いボードを出していきたいということですね。そういうすごく調子良いボードを手にしてサーフィンをするとサーフィンが楽しくなるんですよ。そうなると精神的にも凄く気持ち良くなれるので、お客様にそうなってもらえるようなボードをここから出して行きたいと思っています。

[AO] ちなみに今の奥田さんにとってのマジックボードと言うか、一番調子良い、奥田さんが気持ち良くなるボードっていうのはご自身で作られたボードになりますか?

[OK] そうですね、過去にもそういうボードはありましたし、今自分が使っているものも凄く気に入っているんですけど、何本かはあるんですよ。そういう「あのボード良かったな」って過去の記憶を辿っても思い出すボードって。お客様がそういう思いになるようなボードを作りたいと思っています。

サーフィンと海に幸せにしてもらっている

[AO] 海とか自然の状況に関して何か考えたりとか感じられたりすることはありますか?

[OK] そうですね、ずっと海に接して生きてきたので、やっぱり海っていつも当たり前にあるという存在になっています。自分にとって生きがいを与えてくれていますし、自分や全ての人に幸せを与えてくれるものなんだなっていう風に思っているんですけど、海はなくてはならない大切な存在ですよね。それが最近明らかに変わっていっています。

例えば、地球温暖化の影響かと思うような、海水面の上昇ですね。波打ち際に来る水が増えて、砂浜がどんどん無くなっちゃったりしています。海の環境って目に見えるほど変わっていったりしていますので、そういうのを見ると心が痛みますし、変わっていくんだなっていう悲しさを感じます。

山から砂が川を伝って海に流れて出てっていうように、自然のサイクルの中で全て繋がってると思うんですけど、生態系が維持されて自然環境の中で自分たちが生かされているっていう事なので、自分たち人類が全ての場所で自然に対して大切に接するって事が、未来に対して美しい環境を残すってことなんじゃないかなと思っています。

[AO] 奥田さんにとってサーフィンとはどんなものですか?

[OK] サーフィンは自分が幸せを感じるものですね。仕事でもそうですし、プライベートでもそうです。家族でサーフィンができるっていう時間もすごく幸せを感じますし、自分が作ったサーフボードでお客様がすごく喜んで貰えた時も幸せですね。全てのものを海とサーフィンから与えてもらっているので、僕はサーフィンと海にすごく幸せにしてもらっていると思っています。

GrabモデルとLotsモデル

[AO] 最後に、お気に入りのサーフボードをご紹介いただけますでしょうか?

[OK] 普段のボードの選び方ですが、大体、先ず波を海に見に行って波のチェックをして、それから波のサイズだったりとか状態を見て、その日使うサーフボードを選びます。波の大きさにもよりますし、波の状況によっても使い分けるんですけど。そんな中でも、よく使うのは自分のモデルの中でもGrab(グラブ)っていうモデル名で発表しているものですね。そのボードは大体どんなコンディションでも使えるのでよく使いますね。

奥田修嗣氏シェイプのGrabモデル
(photo by Dick Brewer)

Grabモデルは、オールラウンドボードとして、ヒザからオーバーヘッド以上までどんなコンディションでも対応します。ノーズからテールに かけてミディアムなロッカーを持ち、ボトムには、コンケーブがナチュラルにしっかりと入っています。ノーズエリアからシングルコンケーブがはじまり、テールにむかってシングルコンケーブとダブルコンケーブとのコンビネーションに変化していき、アウトラインと融合してレスポンス性の高いボードに仕上がってます。 テイクオフが早く、スピード性に優れ、鋭いアクションが可能なボードです。

[AO] ボードの長さはどのくらいのものなんですか?

[OK] そうですねぇ、僕は大体5’6″から5’8″ぐらいの間ですかね。

[AO] それが調子良いんですね。

[OK] もっと波が大きくなれば違うボードも使いますけど、普段ある波では大体オールマイティに使える「グラブ」を使うことが多いですね。普段よりも小さい小波用のボードとかもあるんですけど、そういう小波の時はそういう小波用のボードを使いますね。

[AO] 先ほどの「グラブ」にちょうど合う通常の波というのは、どのくらいの高さの波なんですか?

[OK] このモデルは膝から頭、それから、頭より大きくても、どの場面でも大丈夫だなって思っています。オールマイティなんですよ。

もう一つは、ロッツ(Lots)というモデルです。Lotsモデルは、ややワイドなアウトラインと、控えめなロッカーを持っています。楽なパドリングから波をキャッチしやすく、スムーズなライディングを可能にします。ショートボーダーの小波用としてや、ロングボード からショートボードへの乗り換え、ビギナーの方にもおすすめのモデルです。

奥田修嗣氏シェイプのLotsモデル
(photo by Dick Brewer)

(Vol.2に続く)

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