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FIREWIRE SURFBOARDS JAPAN
戸塚勇人氏インタビュー Vol.2
~ロブ・マチャドデザインのSEAWOLFとケリー・スレーターデザインのSci-Fi 2.0~

(Vol.1の続き)

ロブ・マチャドが日本向けにデザインしたSEAWOLF

[AO] Firewireのラインナップは、ショートボードからミドル、ロングボードまでラインナップも幅広いですね。全てお薦めできるボードでケースバイケースだとは思いますが、特定のシチュエーションでこういった場合こういった物がお薦めですよみたいなモデルって、ご紹介頂くことは可能ですか?

[FW] 今年発売した日本限定モデルでSEAWOLFっていうモデルがあるんですよ。ロブ・マチャドが日本向けに調整して、デザインした日本限定モデルで、リッピング寄りのオールラウンドモデルになっています。結構、ロブが普段サーフィンしてる所って、日本のビーチブレイクに凄く似てて日本を意識して作ってくれたモデルなんです。

SEAWOLFとロブ・マチャド
(photo by Firewire Surfboards)

[FW] 波質もすごく似てる地域なので、やっぱり彼がデザインしたっていうのもあるんですけど、凄い乗りやすくて、初心者から上級者まで凄い楽しめる一本だと思います。形状としては、レールが薄めなのと、ウェッジテール(※)を組み合わせることで、ラディカルなマニューバーの際にも、スリップせずにグリップするようにデザインされています。

※通常のスワローテールより丸みが帯びた、くさび上の形をしたテールのこと

また、同じくロブ・マチャドがデザインしたMOONWALKERというモデルから採用されている特徴的なボトムコンケーブである”BOARD-EAT-BOARD”がSEAWOLFでも使われています。”BOARD-EAT-BOARD”は、2種類のコンケーブを組み合わせたような、コンケーブデザインです。ボードの内側に関しては、ノーズよりではフラットシェープで、途中のポイントからテール側まで、浅めのシングルコンケーブが形成されています。

ボードの外側に関しては、ノーズよりでは深めのシングルコンケーブが形成され、フィン付近のポイントはフラットに、テール周辺ではVeeに、徐々に変化していく形状になっています。フィンはスラスターのフューチャーフィンで、全体のボリューム(Volume)とワイズ(Width)、シックネス(Thickness)のバランスが絶妙で、小波から高い波までマッチするように計算されて、デザインされています。

[AO] こちらのボードもレールが薄めで、グリップ性が良く、初級者の方が乗ってもそれなりに乗れて、上級者の方が乗ったら高いパフォーマンスを発揮しそうで、オールマイティなボードですね。日本の向けに調整してデザインしているということで、小波のコンディションも多い、日本のユーザーには嬉しいですよね。

Seawolf session
(movie by Firewire Surfboards)

[AO] ロブ・マチャドはカリフォルニアがホームでしたでしょうか?

[FW] そうです、カーディフの近くに住んでいます。

[AO] このSEAWOLFも初心者から上級の方まで、小波から高い波まで楽しめる乗りやすいボードになっているんですね。

[FW] 後ほどご紹介させていただく、EL TOMO FISHというモデルと一緒なんですけど、日本だったらそれ一本でオールインワンボードというか、どんな波でもある程度対応は出来るかなっていうボードです。

[AO] SEAWOLFの構造はLFTでしたよね。

[FW] LFTです。

[AO] 今はこれが一番お薦めというところですかね。

[FW] そうですね、はい。

ケリー・スレーターの大人気モデルのアップグレード Sci-Fi 2.0

[AO] 他にお薦めのモデルは有りますか?

[FW] 他は、Sci-Fi 2.0っていう新しいモデルが、今年の5月に発売したばっかりなんですけど、このモデルも凄いお薦め出来ます。

[AO] Sci-Fi 2.0について、前モデルとの違いも含めて、説明していただけますか?

Sci-Fi 2.0
(photo by Firewire Surfboards)

[FW] Sci-Fiっていうモデルがありまして、これが日本、サーフィン業界で言うアカデミー賞みたいな感じで、SIMA Awardsっていう毎年行われてる表彰があるんですけど、そこで金賞を受賞したモデルなんですよ。

※2017年14th Annual SIMA Awardsを受賞

この賞をSci-Fiっていうモデルが受賞して、結構Firewireの中ではかなり人気のモデルになり、多くの人に認知されました。それを更にアップデートしたのが、今回発売したSci-Fi 2.0っていうモデルに改良されてアップデートされていますので、調子良いことは間違いないですね。

ボードのアウトラインは、ワイデストポイントが真ん中よりノーズ寄りに位置し、 Sci-Fi 1.0よりも、更にワイズ(Width)とシックネス(Thickness)を増し、よりボリュームアップしたことにより、前モデルと比べて1インチ短めのボードに乗れるようになっていまして、よりテイクオフが楽に早くなっています。構造は先ほどのSEAWOLFと同じLFTです。

また、ロッカーとテールを更につけて、小波に強いというオリジナルモデルの特性を維持しながらも、より幅広い波のレンジに対応しています。特にテールロッカーを前モデルよりも更に強めることで回転性を上げて、バランスの良い仕上がりになっています。

テールデザインはウイングレールの段差からテールの絞りを若干細くして、更に5つの尖った頂点により、蝙蝠のような特徴的な形を形成するバットテールです。この多角形のテールデザインにより、後ろ足を踏み込むことによる旋回起点が出来、水面へのグリップ性を最大化させ、ラディカルなターンやマニューバーの際にもしっかりとボードをホールドします。また、高い回転性も得られるため、より小刻みにボードを動かせるようになり、よりアグレッシブなサーフィンが可能になっています。

また、ボトムデザインでは、先進的なクアッドコンケーブが使われており、このコンケーブの凹凸により、更に水面へのグリップ性を高めアグレッシブなターンをサポートすると共に、フローをコントロールすることで、上方へボードをリフトし水上スキーのような滑走力を得ます。全体的にスピードとコントロール性能が大幅に向上されていますので、本当に、良い性能を持っていた今までのSci-Fiの1.0よりも、アップデートして更に良くなりました。

ケリー・スレーターとSci-Fi 2.0
(movie by Firewire Surfboards)

[AO] ウイングレールでテールを絞って、多角的なバットテールにより、グリップ力、回転性、俊敏性が上がってるんですね。また、コンケーブデザインも先進的で、上方への揚力向上と、かなりのスピードアップやコントロール性能の向上が実現されていそうですね。小波への対応から、大きな波まで幅広く対応出来るバランスの良いボードに仕上がっているんですね。Sci-Fi 2.0は、戸塚さんが使われる時は、レングスはどの位になるんですか?

[FW] 2.0はファイブシックス5’6″とかその位ですかね、普段自分が乗るとしたら。

[AO] スレーターデザインっていうのは、Firewireのラインナップの中で、ケリー・スレーターがデザインに関わっているシリーズの事ですよね。

[FW] はい。

[AO] そこの中に、Sci-Fiもあったということですね。

[FW] はい、ありました。ここからSci-Fi 2.0が出るようになりました。

[AO] では当初はSci-Fi 1.0はケリー・スレーターがデザインされたんですか?

[FW] ケリー・スレーターがプロデュースしたモデルですね。シェイパーは別の人なんですよ。シェイパーがダニエル・トムソンって、後ほど説明しますEL TOMO FISHと言うモデルを作ったシェイパーなんですけど。

[AO] ケリー・スレーターは、プロデュースということですね。

[FW] プロデューサーですね、スレーターは。

ケリー・スレーター・サーフ・ランチでSci-Fi2.0に乗るケリー・スレーター
(photo by Firewire Surfboards)

ケリー・スレーターとロブ・マチャドは唯一無二のスーパースター

[AO] あと、ちょうど今お話し出たんですけれども、FirewireのチームでPRとかでケリー・スレーターとかロブ・マチャドとか関わられてますけれども、彼らもFirewireのJapanのショップに来られる事とかありますか?

[FW] もちろんです。

[AO] どんな感じの方ですかね。

[FW] もうスーパースターですよ、やっぱり。(笑)

[AO] そうですよね(笑)

ロブ・マチャドとSEASIDEモデル
(photo by Firewire Surfboards)

[FW] スーパースターなんですけど、人格的にも良い方達で、日本人の事もすごく理解してくれるし、なんていうんですかね、ビジネスマンでもあるし、サーファーでもあるし、仕事は凄くし易いです。

[AO] そうなんですね。ケリー・スレーターとロブ・マチャド、二人も仲良さそうですよね。伝説的なパイプラインマスターズでハイタッチしたり。

[FW] 直接二人に「仲良い?」とかは聞いたことは無いんですけど、二人いっぺんに来ることはまずないし…。

[AO] それぞれの雰囲気って有りますか?

[FW] やっぱりタイプが、もともとチャネルアイランズさんにいた時から、ケリー・スレーターもロブ・マチャドも、二人ともタイプの違うライダーだったので、なんて言うんですかね、唯一無二の存在なんですかね、二人とも。サーフィン業界の中では。いまだにやっぱり人気ありますし。

[AO] そうですよね。

[FW] 他の選手が出てきても、彼らのボードだからこそ、お客さんが付いてきて売れるという風に感じますね。カリスマ性は、やっぱり二人には今でもあるのかなとは思います。

[AO] そうですよね、今でもやはり人気高いですよね。ケリー・スレーターは、今でもコンテストで、Firewireのボードを使われてるんですよね?

[FW] はい。ケリーは自身のスレーターデザインにずっと乗って、プロデュースしながらツアーをまわってます。

素材の大部分が自然素材のデッキパッド

[AO] Firewireのショップでは、サーフボード以外のアイテムも販売されていますよね。

[FW] そうですね、小物系だったり、フィンとか、ちょっとしたサーフグッズを置いてます。

[AO] Firewireのフィンも出されてますか?

[FW] フィンもうちのオリジナルで出してます。

[AO] そうなんですね。ボードの本体以外で何かお薦めの物って有りますか?

[FW] そうですね、ボード以外ですとデッキパッドになっちゃうんですけど、スレーターデザインとロブ・マチャドから出ているんですけど。最近エコブームと言うか、日本もようやく環境に対して結構シビアになってきたんですけど、そのデッキパッドで、素材が全部じゃないですけど、約90%が藻で出来たもの、湖とかで浮いている藻があるじゃないですか。あれを集めてデッキパッドを作ってるんですよ。それも凄い地球環境に優しいというか、それも凄く良いと思います。

ケリー・スレーターとFirewireデッキパッド
(photo by Firewire Surfboards)

[AO] 良いですね。今だとやっぱり地球の環境に配慮した物って凄く大切ですし、特に海なんかだとマイクロプラスチックの問題なんかもありますし、そういった環境に配慮したデッキパッドは素晴らしいですよね。

全てのことに関して、環境に配慮しているサーフボードブランド

Sci-Fi 2.0に乗るケリー・スレーターとSEAWOLFを持つロブ・マチャド
(photo by Firewire Surfboards)

[AO] Firewireのブランドとして、今、欧米で一番メジャーなブランドになったというお話が先ほどありましたが、ブランドの特色などがあれば、教えて頂けますか?

[FW] そうですね、さっきデッキパッドの例で言ったような形で、サーフボードもそうなんですけど、全てにおいて、製造過程についても全部そうなんですけど、環境に凄い配慮しているサーフボードメーカーなんですよ。例えばサーフボードのEPSフォームについてですが、これをカッティングっていって、サーフボードの形にカットして、余ったEPSフォームって大体捨てないといけないじゃないですか。

あとは削った部分とかもですけど。そういった、通常は廃棄するような部分を、Firewireっていうのは、全て自然に対して無害にするために、それをペイビングストーンってよくお庭とかで使ってる石あるじゃないですか。ああいう物に再利用したりとか、プランターを作ったりとかしているんですよ。

[AO] なるほど。

[FW] なので、サーフボードを作るにあたって、全てのことに関して、環境に配慮している非常に稀有な、サーフボードメーカーなのかなとは思います。

[AO] 先ほどの環境の保全にも繋がりますし、非常に素晴らしい事ですよね。そういった、環境に配慮したサーフボードの製造については、どんどん進めて頂けると環境の保護にも非常に良いと思いますので、技術的にも先進的ですし、デザインも非常に洗練されているんですけれども、さらに環境にも非常に配慮されているという事で、素晴らしいメーカーですね。

(Vol.3に続く)

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